パート薬剤師の平均時給は?都道府県の最低賃金と比べて高いって本当?

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序文

薬剤師は資格職のため、「資格を活かして気楽に稼ぎたい!」「パートだとどれぐらい稼げるの?」と気になっている方も多いはず。そんな方のために、パート薬剤師の給与について解説していきたいと思います。パートのお仕事に興味のある方、勤務体系で悩んでいる方などはぜひこちらの記事を参考にしてみてください。

【地域別】パート薬剤師の平均時給

全国のパート薬剤師の平均時給は2,200~2,300円程度と言われています。ですが時給相場は地域や職種によってかなり差があるのが特徴です。

それではまず、地域別の平均時給をみていきましょう。

厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査データによると、薬剤師の時給の高い地域順に、「島根県」「高知県」「青森県」「岩手県」「鳥取県」となっています。

意外と感じる方も多いことでしょう。ですが1位の島根県は時給2,800円となっており、平均時給の2,200~2,300円を大幅に上回る結果です。

一方、一見高いと思われがちな「東京都」は24位、「大阪府」では31位という結果です。多くの方が働きたいと思うような都市部の時給があまり高くないという結果に、がっかりした方も多いのではないでしょうか。

これらの調査結果から、都会よりも地方の方が高い時給で働ける可能性が高いということがお分かりいただけると思います。

地方の時給が高い理由として、やはり“薬剤師不足”が挙げられるでしょう。

全国的には薬剤師の数が飽和傾向にあるものの、地方ではまだまだ薬剤師が不足しています。というのも都市部への人口集中は加速していますが、薬局はどこの地域にも必要不可欠だからです。特に薬学部のある大学がない地域や、交通の便が悪い地域は薬剤師が勤務地として選びづらく、薬剤師不足が深刻です。

このような需要と供給の関係から、地方における薬剤師は変わらず不足の傾向が続いています。

これは住む場所にこだわらない方にとっては朗報ともいえるでしょう。薬剤師の仕事内容はどこの地域に行っても基本的に変わりません。そのため時給の高い地域で仕事を探すことで、同じ労働でももらえる対価が大幅に上がります。パートでの仕事を探している薬剤師の方は、ご自身の価値観に沿って働く場所と時給のバランスを検討するようにするとよいでしょう。

【職場別】パート薬剤師の平均時給

次に、パート薬剤師の平均的な時給相場を職場別にみていきましょう。

調剤薬局 2.000~2.300円
ドラッグストア 2.000円前後
病院 1.800~2.200円

【調剤薬局】

調剤薬局の時給相場は2,000~2,300円程度。多くの薬局では2,000円以上で募集が出ていますが、時々2,000円を下回る求人もあります。またこちらはあくまで平均的な時給のため、前項でも解説した通り薬剤師が不足している地域や店舗ではもっと高い時給で働くことができます。

【ドラッグストア】

ドラッグストアでは、時給1,800円程度の求人から2,600円程度の求人まで、時給の幅が広いのが特徴です。時給2,000円程度の求人が最も多く、“ドラッグストア=高給与”という認識をお持ちの方には物足りなく感じるかもしれませんね。

理由として、正社員では労働時間や業務量が多いことから、調剤薬局や病院と比べて給与が高い傾向にあります。しかしパートの場合、決められたシフト時間の中でのみの勤務のため正社員と比べて高給与ではありません。

ドラッグストアの特徴としては土日・祝日、深夜なども営業しており、このような時間は人手が足りないことから時給が上がるケースが多いです。そのためより多く稼ぎたいという方は、このような時間を狙って働くのがよいでしょう。

【病院】

病院ではたらくパート薬剤師の時給相場は1,800~2,200円程度。調剤薬局やドラッグストアと比べると低い水準となっています。これは正社員同様、多くの病院で人件費削減を強いられていることや、薬剤師よりも医師や看護師の人材確保の優先度が高いことが原因でしょう。

病院は正社員の場合残業が多く重労働なイメージがありますが、パートの場合は定時で帰れるケースが多いのでそこはパートで働くメリットと言えそうですね。病院で働くことにこだわりたい方は、調剤薬局やドラッグストアと比べると少し時給は下がりますが、時給2,000円以上の求人を探すようにするとよいでしょう。

パート薬剤師の最高時給と最低時給

ここまでお読みいただいた方は、パート薬剤師の時給は働くエリアや職種によってかなり幅があることがお分かりいただけたと思います。

そこでここからは、気になるパート薬剤師の最高時給と最低時給についてみていきましょう。

【最高時給】

最も時給の高いケースで時給3,000円程度になります。

ここまででご説明した通り、人手の足りないエリアや時間帯などにおいて、このような高時給が出る傾向にあります。東京都の最低賃金(令和2年)が1,013円であることを考えると3倍近くの高時給ですね。

病院において時給3,000円というのはほとんどないでしょう。薬局やドラッグストアで時給3,000円程度の求人があった場合はぜひチェックしてみてください。

ちなみに派遣では3,500~3,600円程度の求人も時々あります。派遣の方が時給が高い理由については、次の項をご覧ください。

【最低時給】

最も時給の低いケースで時給1,500円程度になります。

時給1,800円程度の求人は時々見かけますが、時給1,500円の求人はあまり多くないでしょう。この水準は薬局やドラッグストアではほとんどありませんが、一部の病院において時給1,500円という募集があります。最低賃金の1.013円(東京都、令和2年)と比較すると決して低いわけではありませんが、薬剤師という資格職、かつ最高時給が2,800円ということを考えると、時給1,500円で働くのは悔しいと感じる方も多いでしょう。

パートよりも派遣が高時給な理由は?

パートと派遣は同じシフト制の短時間勤務なのに、なぜか派遣の方が給与が高いことを疑問に感じている方もいるのではないでしょうか?そこで、ここではパートよりも派遣の方が高時給な理由と、パート・派遣それぞれのメリット・デメリットについて解説していきたいと思います。

【派遣が高時給な理由】

派遣が高時給な一番大きな理由として、“高い時給を払ってでも人材を確保したいから”ということが挙げられます。

会社が派遣薬剤師を雇う場合、派遣会社に報酬を支払わなくてはならないため、自社でパートを雇うよりも高いコストがかかります。ですが営業に差し支える程の人材不足の場合は派遣を雇うより仕方がありません。この場合は相場よりも高い額の報酬を派遣会社に支払い、人材確保に努めるケースも多くあります。

人材が確保できるまでの一定期間や1日だけの単発など、薬局側が求める期間のみのお仕事では高額な時給を支払ってでも派遣薬剤師を雇うケースがあります。

【パートで働くメリット・デメリット】

パートで働くメリットは、やはり自分の働きたい日時を指定して気軽に働けることでしょう。正社員のように大きな責任や残業などがなく、プライベートの時間を確保しやすいというメリットがあります。また派遣と異なり勤め先の会社と直接雇用契約を結ぶため、長期的に同じ職場で働くことができます。「いずれは正社員になりたい」という方にもオススメです。

一方パート勤務は他の雇用形態と比べて時給が低いため、稼ぐことを優先させたい方には向いていないかもしれません。シフトも希望通りにならない可能性があるため、必ずしも働きたいだけ働けるとは限らない点は注意が必要です。

【派遣で働くメリット・デメリット】

派遣で働く一番のメリットは、割の良い時給で働けることでしょう。場合によっては正社員よりも高給与なケースもあります。また残業などはほとんどなく、プライベートを守りながら働ける点も魅力的ですね。仕事内容や職場環境よりも効率よく稼ぐことを優先したい方に、とてもオススメの雇用形態です。

一方デメリットとして、派遣の職場は何らかの理由で人手不足が深刻な職場が多いことが挙げられます。人手不足の職場では、忙しい、雰囲気が悪いなどの職場環境が多い傾向にあります。また派遣では一つの職場にずっととどまることはできないため、職場や業務内容が頻繫に変わることが前提の雇用形態であることも理解しておく必要があるでしょう。

パート薬剤師が時給を上げる方法

派遣と比べて給与面ではやや劣るパート薬剤師。同じ時間働くのなら、少しでも高い時給で働きたいですよね。

そこでここではパート薬剤師の給与アップのコツを3つご紹介したいと思います。ぜひ参考にしてみてください。

①転職する

既にパート薬剤師として働いているという方が時給を上げるには、転職するのが最も近道です。というのも既に働いている職場で昇給の交渉をするのは至難の業。特に規模の大きい会社に努めている場合、一律で時給を管理されている可能性が高く昇給を受け入れてもらえる可能性はとても低いでしょう。

そこでオススメなのが、今の時給を踏み台にして転職することです。

「今の会社では時給○円です」と伝えることで、今よりも高い時給で雇ってもらえる可能性が高まります。その際ご自身のスキルの高さなどをアピールすることができると、よりスムーズに交渉が進むでしょう。

また会社を探すときは“急募”の求人を当たるのもオススメです。先方も採用を急いでいることから、より良い条件で交渉しやすいでしょう。

②人手の少ない時間帯に働く

一般的に皆が休みたいと考える土日・祝日や深夜帯は、人手が不足しがち。19時以降はパートスタッフも不足するため、より人手不足が深刻な職場も多いでしょう。そのため元の時給からさらにプラスの給与体系を提示している会社も少なくありません。特に深夜勤務においては深夜手当も付与されるため、さらに高時給で働くことができます。

土日・祝日や深夜帯を狙って働くなら、やはりドラッグストアがオススメ。ドラッグストアには深夜の時給が3,000円以上の会社もあり、働く時間にこだわらないという方には嬉しい条件ですね。また深夜であればお客さんが少なく、日中よりもゆるく働くこともできるかもしれません。

このような時間帯を狙って働きたい方は、採用面接の際土日や祝日、夜間帯のシフトに積極的に入れることをアピールするとよいでしょう。それを伝えることで時給を上げてもらえる可能性が高まります。

③人手不足のエリアで働く

交通の便が悪いエリアや地方では、必然的に薬剤師が集まりづらく人手不足の傾向があります。このような売り手市場のエリアでは、元々高い時給を提示している会社が多いだけでなく、薬局側の「なんとか人材を確保したい」という思いから給与交渉もしやすくなります。

また地方には大手のチェーン薬局よりも個人経営の薬局が多くあるのも特徴の一つ。個人経営の薬局は、大手のチェーン薬局よりも条件面の融通が利きやすいことはイメージしやすいのではないでしょうか。社長などの上司との距離が近く、こぢんまりとした組織でアットホームな空気感も魅力的ですね。

薬剤師の仕事はどこの地域でもほとんど同じ内容なので、少しでも高い時給で働ける穴場なエリアを探してみてはいかがでしょうか。

パート薬剤師が扶養内で働くには?

パートで働く時に注意すべきことのひとつ、「扶養内控除」についてお話していきます。

薬剤師は一般的なパートやアルバイトに比べて時給が高いため、気を付けていないと損をすることになってしまうかもしれません。労働時間を計画的に調整して、賢く稼ぐようにしましょう。

【そもそも扶養控除とは?】

扶養控除には、「税制上の扶養控除」と「社会保険上の扶養控除」の2つがあります。

それぞれをしっかり理解して扶養控除を受けるようにしましょう。

■税制上の扶養控除

「税制上の扶養控除」とは、所得税や住民税などの控除や配偶者控除、配偶者特別控除などの控除のことを指します。以下、“配偶者控除”と“配偶者特別控除”について詳しく解説していきます。

①配偶者控除

“配偶者控除”とは、納税者に収入が103万円以下(収入がない場合も含む)の配偶者がいる場合、年末調整で納税者本人の税金(所得税・住民税)を一定額減らすことができる制度。

控除額は最大38万円ですが、納税者の年収が1,120万円を超えている場合、控除額は段階的に減額される仕組みになっています。

②配偶者特別控除

“配偶者特別控除”とは、配偶者の年収が103万円を超えており配偶者控除を受けられない場合、配偶者の所得金額に応じて納税者の税負担が軽減される制度です。配偶者の年収が103万円を超えて扶養から外れた場合でも、緩やかに税負担が増えるよう調整してくれる仕組みになっています。

■社会保険上の扶養控除

社会保険とは、健康保険と厚生年金保険の総称です。

「社会保険上の扶養控除」とは、健康保険の扶養となる人が納税者の勤め先の健康保険や厚生年金の被扶養者になることができるという制度です。つまり“自分で保険料を払うことなく健康保険に加入できる”ということになります。

社会保険の扶養の対象範囲は、主に家計を支えている納税者の配偶者、および扶養者の3親等内の親族です。子どもが自ら保険料を支払っていないにもかかわらず自分の健康保険証を持っているのは、この健康保険の扶養の対象範囲に含まれているからです。

【よく聞く「○万円の壁」とは?】

巷では“103万円の壁”などと言う言葉を耳にすることが多いのではないでしょうか。

実は103万円のように、節目となる金額は他にもいくつか存在します。働き損をしないためにも、節目となる金額についての知識を整理しておきましょう。

ここでは“税金の壁”と“社会保険の壁”に分けて詳しく解説していきます。

■税金の壁

①103万円の壁

最もよく耳にする“103万円の壁”とは、これを超えると「所得税」が発生するというラインです。

103万円を超えると、越えた額に対して自分自身で所得税を納める必要が発生します。これは越えた所得に対して所得税・住民税を支払うものなので、手取り額がマイナスになることはありません。

②150万円の壁

“150万円の壁”とは、上記で説明した「配偶者特別控除」、つまり納税者の税金控除が徐々に減っていくラインです。こちらも徐々に減っていくものなので、150万円を超えたからと言って手取り額がマイナスになることはありません。

■社会保険の壁

①106万円の壁

“106万円の壁”とは、パート先の社会保険への加入義務が発生するラインのこと。企業の規模や勤務時間、勤務日数などの条件によって、加入の対象が異なるのでチェックしておきましょう。

②130万円の壁

年収が130万円以上になると、納税者(配偶者)の扶養を外れます。これを“130万円の壁”と言い、自分で国民年金と国民健康保険に加入する必要がでてきます。

自分でこれらの保険に加入した場合、ひと月あたり約3万円、年間約36万円の負担が発生するため、130万円ギリギリの収入では手取り額がマイナスになってしまう可能性があります。

まとめ

パート薬剤師の収入事情に関する記事をご覧になっていかがでしたか?

同じ薬剤師の仕事でも、はたらく職場や時間、場所などによって時給にはかなり幅があることがお分かりいただけたと思います。基本的に薬剤師は人が不足している地域で時給が上がる傾向が強いため、人手の足りなそうな時間や場所が狙い目です。ご自身のプライベートとの兼ね合いを考えながら、より効率よく稼げる方法を探してみてください。

また扶養の範囲内で働きたい方は、様々な扶養控除の制度や「〇万円の壁」についてしっかり知識をつけてから働き始めましょう。「たくさん働いたのに税金で手取りが減ってしまった・・」なんていうことにならないよう、計画的に働くのがよいですね。

キャリアアドバイザー 吉田

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