薬剤師の転職市場は?今後重要なスキルも解説!

序文

薬剤師の転職市場は、かねてより売り手市場といわれています。そのため、多くの企業から内定を獲得しやすく、条件の良い転職先を選びやすい状態と言えます。しかし、薬剤師業界を取り巻く環境はいつまでも平穏というわけにはいきません。薬学業界では調剤報酬の改定などの影響をもろに受けやすく、薬剤師の市場価値も変わりつつあります。

この記事では、そんな薬剤師の転職市場について解説していきたいと思います。

業界全体の薬剤師の転職市場

まず始めに、薬学業界全体の転職市場についてみていきたいと思います。

転職においては、薬剤師は転職しやすい職種といえるでしょう。その理由として、やはり需要に対してまだまだ薬剤師の人数が不足している状況があるからです。特に地方では、より薬剤師の不足が目立っており、転職しやすい状況です。

しかし、この売り手市場がいつまでも続くという保証はないのが現実です。2025年には薬剤師が飽和する、と言われており、今後は売り手市場ではなくなってくる可能性が高いといえます。

2020年以降は毎年、診療報酬改定が行なわれることが決まりました。そのこともあり買い手市場に変わっていくことが予測されます。また、2019年4月に厚生労働省が発出した「調剤業務のあり方について」の通知です。ピッキングなど一部の作業については、要件を満たすことができれば薬剤師以外の職員が代行できることが明示されました。この通知により、薬局・ドラッグストア業界では、薬剤師よりも低い年収で作業を代行できる医療事務の採用を強化する企業も出てくることでしょう。その結果、薬剤師の採用を抑える企業が出てくる可能性も十分にありえます。

さらに、地域による需要と供給の差にも違いが出てきています。人口の集中する都市部には薬剤師も多いため、転職における薬剤師の優位性は低くなる傾向があります。逆に薬剤師を集めるのに苦労する地方では好条件での転職になる傾向があるというものです。 地方での薬剤師不足は続いており、今後も薬剤師優位の転職市場が続いていく可能性が高いです。

調剤薬局業界の薬剤師の転職市場

次に、調剤薬局業界での転職市場を見ていきましょう。

調剤薬局業界でも、薬剤師の転職はしやすい傾向にあるといえます。

調剤薬局業界における転職市場の特徴としては、大手企業と中小企業では採用する際の事情が変化してきているという傾向がみられます。事業規模の小さい調剤薬局では薬剤師の採用に苦労しているため、薬剤師の数が足りていない場合もあり、比較的転職がしやすいといえます。一方大手企業の場合では、企業が優位の条件で交渉することも増えてきており、徐々に転職が難しくなっていく傾向が見られます。しかし、大手企業、中小企業問わず、依然として薬剤師の数は不足しているといえます。特に地方では、薬局の規模が小さく、採用に苦労している薬局も多いため人手が不足している傾向があります。

大手企業が就職先として人気な要因はさまざまあります。その理由として経営面の安心感、福利厚生の充実、教育・研修制度の整備などが挙げられます。そういった面から大手の調剤薬局は、特に新卒の薬剤師に人気な傾向があります。

それでは、中小規模の企業の長所はどのようなところがあるのでしょうか。中小規模の企業は大手に比べて、個人を優先していく傾向があります。そのため、年収や勤務時間などの希望条件にこだわって転職したい薬剤師にとっては、中小規模の企業の方が希望条件は比較的通りやすいと言えそうです。また事業規模が小さいことから転居を伴う転勤のリスクが少ない、アットホーム感があるなどの長所があります。自分の条件に合った転職先を見つけましょう。

ドラッグストア業界の薬剤師の転職市場

続いて、ドラッグストア業界の転職市場を見ていきましょう。

ドラッグストア業界も調剤薬局業界と同様に転職がしやすいといえるでしょう。しかし、いつまでも転職が簡単というわけではありません。

転職が比較的容易だといわれている理由としては、調剤併設型や24時間調剤対応の店舗拡大が急速に進んでいるのに対して、そこで働く薬剤師の人材の確保がなかなか追い付いていないということが挙げられます。薬剤師がいないと店舗を営業できないドラッグストアでは、まだまだ薬剤師の需要がありそうです。

一方で、ドラッグストアへの転職が簡単なものではなくなっている理由としては、OTC業務においては薬剤師の需要が減ってきている現状があるからです。登録販売者など、薬剤師の国家資格がなくても医薬品に携われるように変化してきている現状があり、今後はますますこの流れが進む可能性が高いといえます。これからのドラッグストアには、調剤併設店で調剤業務ができる薬剤師が必要とされるでしょう。

また調剤薬局と同様に、特に地方では薬剤師の不足のためまだまだ売り手市場が続きます。会社によっては地方で勤務することで高額給与が望める可能性もあるでしょう。

薬剤師の売り手市場が続くドラッグストア業界では、年収などの自分が働く上で優先したい条件の交渉が比較的スムーズに進みやすいでしょう。ドラッグストアは好条件を追求したい薬剤師にとって有力な選択肢となりそうです。

病院業界の薬剤師の転職市場

次に、病院業界での転職市場を見ていきたいと思います。

病院への転職は、調剤薬局やドラッグストアに比べて、転職は少し難しくなります。

実際、厚生労働省『平成28年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況』によれば、調剤薬局に勤務する薬剤師の平均年齢は46.5歳、医薬品関係企業の薬剤師は46.8歳なのに対して、病院の薬剤師は40.7歳と大幅に若くなっています。 病院は他の業界に比べて新卒採用が活発です。その反面、中途採用の門は狭い傾向にあります。そのため、病院への転職は簡単なものではなく、病院優位の転職市場になっているといえそうです。

その他にも、病院は若い薬剤師を確保したいという気持ちが調剤薬局以上に強く、新卒の学生を求めている傾向があります。そのことから、年齢を重ねるほど転職先はかなり限られていくと予想されます。

また、急性期の大学病院などは、薬剤師からの人気が高いため、需要と供給のバランスの観点からなかなか薬剤師が病院に転職することは容易なことではありません。さらに、今後病院内薬局などの設備ができてくれば、病院が薬剤師の人員削減などを行う可能性もあるといわれています。

病院への転職が難しいといわれる一方で、病院勤務は当直をはじめハードワークになりやすく、ワークライフバランスを重視する新卒薬剤師から人気が下がりつつある傾向も見られます。

病院と一言で言っても、高度急性期病院から慢性期病院まで機能は分化されており、そこで求められる薬剤師の役割も働き方もさまざまです。転職をする前に、現場の雰囲気や働き方の実状についてしっかりとリサーチすることが重要といえるでしょう。

今後評価される市場価値

ここまで調剤薬局、ドラッグストア、病院の転職市場について見てきました。

では実際に転職する際に、どのような経験や資格があれば転職活動を有利に進めることができるのでしょうか。移りゆく薬学業界の中で、自身の市場価値を高めるために知っておいて損はありません。それでは実際に見ていきましょう。

まず転職活動を有利に進める上で重要な一つ目の経験が「管理薬剤師経験」です。

全薬剤師の半数以上が調剤薬局に勤務しています。このように調剤薬局に勤務している薬剤師の数が多い中で、調剤薬局を開設・運営するために不可欠な管理薬剤師経験があると、年収をはじめ有利な条件で転職できる可能性が高まります。

管理薬剤師経験の他にも、認定資格薬剤師資格や在宅業務の経験などがあると転職活動を有利に進めることができるでしょう。今後、在宅医療を進めていくところが増えることが予想されるため、必要な経験であるといえます。

また、2016年度診療報酬改定で新設された「かかりつけ薬剤師」の算定要件となっている研修認定薬剤師資格は高く評価されています。とはいえ今後、資格取得者が増えていくことは避けられません。そのため、資格自体を転職の強みとできる状況が長く続くとは限りません。好条件での転職を考えている研修認定薬剤師の方は、早めに転職活動を始め、動き出すことをおすすめします。

一方で、一見転職の強みとなりそうな「調剤経験」はあまり評価されなくなっている傾向があります。これは決して調剤経験が軽んじられているというわけではありません。むしろ好条件での転職を希望するならば、調剤経験があるのは大前提で、その経験に加えてどのような資格や経験があるのかが大切になってくるといえるでしょう。

これからの薬剤師に重要なスキル

先ほどの記事では、評価される経験や資格について紹介しました。続いてこの項目では、これからの薬剤師に重要なスキルについて紹介したいと思います。

転職活動を有利に進める上で必要なスキルとして、「コミュニケーションスキル」「マネジメントスキル」「調剤のスピード・正確性」などが挙げられます。

この中でも特に重要とされているのが、「コミュニケーションスキル」です。薬剤師として活躍していくには必須のスキルといえるでしょう。かかりつけ薬剤師などの場合はより一層重要です。

かかりつけ薬剤師として活躍するためには、患者さんや地域住民の健康相談をしっかりと傾聴して、適切な表現でアドバイスが不可欠です。このアドバイスも難しい言葉を使うのではなく、患者さんにわかりやすい言葉に変換して伝える必要があります。また、勤務時間の大部分を調剤室で過ごす薬剤師にとって、同僚との関係を良好に保つためにも「コミュニケーションスキル」は重要といえます。調剤室のような閉鎖的な空間で人間関係に問題が生じてしまうと、なかなか厳しいものがあるでしょう。そのようなことにならないためにも、「コミュニケーションスキル」は大切です。

薬剤師国家試験の合格基準の変更や薬学部の新設など、将来的に薬剤師の数は増加していくことが予測されます。それに応じて、薬局やドラッグストア、病院などにおける求人の倍率も高まっていくでしょう。その中で自分の働きたい場所で働くためにも、薬剤師として今後求められるスキルを身に着けていく必要がありそうです。

また、薬剤師の中途採用では即戦力が期待されることが多く、実務的な強みをもっていることは転職にも有利に働きます。ライバルと差をつけるためにも、自身のスキルを日頃から意識して磨いていきましょう。

まとめ

薬剤師の転職市場について、ご覧になってみていかがでしたか?

薬学業界全体の傾向としてまだまだ薬剤師の数が足りていないのが現状です。そのため、売り手市場といわれ、就職や転職はしやすいといえますが、いつまでも売り手市場が続いていくことはないでしょう。将来的には、調剤報酬の引き下げによる企業の経営悪化や、薬剤師数の増加などによって、徐々に買い手市場に近づいていくことが予想されます。自分の思い描くキャリアデザインを実現するためにも、日ごろから自分自身の市場価値を高めるための努力を行うことが重要になってくるといえるでしょう。

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