薬剤師志望の20代が転職で成功するポイントとは?

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序文

20代の転職、というと早いと感じる方もいらっしゃるかと思いますが、実際は薬剤師としてはたらく多くの方が20代で転職を経験しています。「薬剤師としてのスキルアップを求めて」「国家資格を強みにより良い条件で働きたい」「結婚を機に」などその理由やきっかけは多岐に渡ります。

しかしどんな方でも、初めての転職は不安なものですよね。この記事では、20代の転職事情や転職を成功させるためのポイントについて、解説していきます。

20代の薬剤師の転職理由

20代薬剤師が転職に至る理由はさまざまですが、中でも一番多いのは「職場の人間関係によるトラブル」です。

薬局や病院など、薬剤師の所属する職場の多くは狭いコミュニティで成り立っています。その中で若手である20代の薬剤師は、毎日上司と顔を合わせて仕事をします。忙しい現場では現場の雰囲気が悪化しやすく、若手である20代の薬剤師が板ばさみとなってしまうことが多いのです。また新人のうちは、仕事に手間取ったりミスをしたりすることも多く、怒られたり上司の圧力を感じたりする場面もあるでしょう。そのため人間関係を理由に転職するケースは若手に多い傾向があります。

次に多い理由が「今の仕事にやりがいを感じられない」です。

新卒の就職活動の時、自分のやりたいことがよく分からないまま、給与や休暇日数などの条件で会社を選んでしまい、就職後にやりがいを感じられなくなってしまうケースです。薬剤師の場合、新卒は特に売り手市場な傾向にあります。そのため就職した会社が自分に合わないと感じて転職に踏み切る薬剤師は、特に20代に多い傾向にあります。しかし専門職である薬剤師にとって、20代のパワーのある時期にやりがいをもって前向きに働くことはとても大切なことです。このようなケースに当てはまると感じた方は、早めに転職した方がよいと言えるでしょう。

また「年収を上げたい」という理由で転職をする薬剤師も多くいます。

薬剤師は資格手当などがあることから、初年度から比較的高給与で働ける傾向にあります。しかし数年働いてから、思うように昇給しないと感じるケースも多くあるようです。昇級幅やキャリアアップの速度は会社によって大きく異なります。当然キャリアアップが早い方が昇給額も大きくなるため、キャリアアップを目的に転職する薬剤師もいるでしょう。

また給与面での転職は、病院薬剤師にも多い傾向があります。病院は、薬局やドラッグストアと比べて勤務時間が長く、当直や残業などの心身への負担が大きいにも関わらず、給与が安く、出世しても大幅な年収アップは期待できない傾向があります。そのため労働環境と給与が割に合わないと感じる薬剤師が多いのです。このように感じながら働いていると、仕事のモチベーションも上がりづらくなり、生活そのものの質も低下してしまうでしょう。思い切って職種を改める転職を検討してみると良いかもしれませんね。

20代薬剤師の年収

新卒で薬剤師になった場合、平均の年収は400万円前後と言われています。その後徐々に昇給していき、3~5年後には多くの薬剤師が年収500万円前後になりますが、ベースの年収や昇給率は会社や業界によっても異なります。

一般的に、調剤薬局とドラッグストアではドラッグストアの方がベースとなる年収が高い傾向にあります。ドラッグストアでは給与が高い分、日祝の出勤や夜遅くまでの勤務が多いことや、調剤以外の業務をこなすことなどの条件が伴います。

一方調剤薬局では、夜遅くまでの労働はほとんどなく、基本的には調剤業務に専念することができるため、ワークライフバランスを維持しながら働くことができるメリットがあるでしょう。

昇級率や役職手当に関しては、会社によるところが大きいでしょう。年次昇給が1000円の会社もあれば10000円の会社もあります。また役職手当やキャリアアップのしやすさに関しても、会社により大きく異なります。薬剤師は薬局長クラスになると年収が一気に上がり、多くの場合600~700万円程度になります。ほとんどの会社では年収700万円程度が頭打ちとなっていて、それ以上の収入アップは見込みづらい傾向にあります。

病院薬剤師では、初年度の基本給は20万円前後です。近年の医療費削減の影響によって、調剤薬局やドラッグストアと比較して年収や昇給率が低い傾向にあります。業務自体においても労働環境があまり良くないのが現実で、心身共に大変な仕事ではありますが、他職種とのチーム医療や最先端の医療を学べるなど、他では経験できないことも多くあります。

転職を考えている薬剤師の方は、一度自分自身の価値観をしっかり考え、どの業種が向いているのかを検討するとよいでしょう。

20代薬剤師が年収を上げるには

6年間も大学に通い薬剤師の資格を取得して働いているのですから、収入を上げたいと思うのは当然ですよね。しかし薬剤師の年収は平均よりは高いものの、思うほど上がらないと感じる方が多いのではないでしょうか?

そこで20代でも年収アップのためにできることについて、ご紹介したいと思います。

①資格取得を目指す

薬剤師には「認定薬剤師」や「専門薬剤師」のような資格があります。昨今では医薬分業が進み、薬剤師の専門性を高める必要があることから資格取得を目指す薬剤師は増加しています。

しかし、残念ながら資格を取得することは大幅な収入アップにはつながりません。

例えば認定薬剤師を取得すると会社からは認定薬剤師手当が支給されますが、その額は月に5000~10000円程度にとどまります。専門薬剤師では、資格取得のために更に大きな労力を必要としますが、資格手当は5000~数万円程度でしょう。取得をするための費用や労力を考えると、それに見合うだけの収入アップは難しいと言えます。

また転職の際も、資格を持っていることが大きく有利に働くことはないようです。

とはいえ20代のうちに、自己研鑽を兼ねて資格取得のための勉強を行うことは有意義であると言えるでしょう。キャリアを積みマネジメント業務などを任されるようになったり家庭をもつようになったりすると、忙しさから勉強する時間をとることが難しくなります。そのため20代のうちに興味のある分野に関して勉強することは、長い薬剤師人生の中で役立つこととなるかもしれません。

自分自身の勉強となり、少しでも収入を増やすことができる資格取得は、20代であればチャレンジすべきでしょう。

②良い条件で転職をする

今よりも高い給与で働ける職場に転職することができれば、大幅な年収アップを実現できます。しかし良い条件で採用してもらうためには、当然の事ながらそれ相応の実力が必要になります。

まず年収アップに欠かせないスキルとなるのが、「コミュニケーション能力」です。ビジネスシーンに適した言葉遣いで言葉のキャッチボールができる薬剤師は、それだけで優秀という評価をもらうことができます。一般的に薬剤師はコミュニケーション力の低い人が多いと言われています。そのため対患者業務において大切なコミュニケーション能力を持ち合わせているだけで年収交渉がしやすく、相場よりも20万円ほどの年収アップが期待できるでしょう。

自分にはコミュニケーション能力が足りていないと感じる方もいることと思いますが、社会人として最低限のコミュニケーション能力を身に着けることはそれほど難しいことではありません。まずはビジネスマナーをしっかり身に着け、正しい言葉遣いや礼儀を習得しましょう。そしてなるべく患者の目線に立って会話することを心がけてみてください。採用試験では、患者さんとのエピソードなどがあるとアピールしやすくなるでしょう。

また「マネジメント能力」を持っていると、さらに+50~100万円程度の年収アップを見込むことができます。個人の成果だけでなく店舗全体のことを考えられる薬剤師や、人を管理するスキルを持っている薬剤師は、店舗運営を任せられる人材として評価されます。薬剤師が複数人在籍する店舗の薬局長などの経験があると、転職市場ではより有利にはたらくことになるでしょう。

20代の転職が有利な点

20代で転職を考えている薬剤師の皆さん、初めての転職は不安が伴いますよね。「転職には早すぎる?」「実力不足で採用してもらえないのでは?」と感じる方も少なくないと思います。また今の職場を短い期間で退職することに対しても、不安や罪悪感があるのではないでしょうか?

しかし実際には20代で転職する薬剤師は思いのほか多く、また転職市場では若さが有利にはたらくケースも多い傾向にあります。

20代薬剤師が転職する際、有利なポイントをご紹介していきたいと思います。ぜひ強みを活かして転職活動を成功させましょう!

①ポテンシャルで採用してもらえる可能性がある

20代、特に第二新卒で転職する場合、これまでの経験値や実績よりもポテンシャルを評価されることが多くあります。向上心がある、目標がある、といったパワーをもっている人材は、今後の伸びしろに期待して採用されるケースが多いため、20代で転職する際はそこをアピールするとよいでしょう。

転職というと、自分をより大きく見せようと今までの経験値やスキルをアピールすることに必死になってしまいがちですが、仕事への意欲や将来性についてきちんと整理し、アピールすることが重要ですね。ポテンシャルを期待されるような職場を選ぶことも大切です。

②前向きな転職理由であれば、高評価につながる可能性がある

20代のうちからキャリアアップやスキルアップを目的とした転職をする薬剤師は、かえって高い評価を受けることができる可能性があります。先を見通して行動できる、判断力・決断力に長けている、チャレンジ精神が旺盛、という印象を与え、高い職場貢献や将来性を期待されるでしょう。

たとえ転職理由が前職への不満であったとしても、できるだけポジティブに転職理由を伝えることが大切です。20代で転職する薬剤師は早期退職を懸念される傾向もあるため、「すぐに辞めてしまうのでは?」と思わせないようにすることがポイントですね。

③年収が低いため採用されやすい

20代の若手薬剤師の場合、ベテラン薬剤師と比べてこれまでの収入が低いですね。転職では前職での収入から給与を交渉するケースが多く、人材不足だが人件費を安く抑えたいと考える会社には若手の人材が好まれる傾向にあります。

しかしベテランよりも知識や経験は不足するため、そこをカバーするようアピールが必要です。

薬剤師転職を成功させるためのポイント

5の項目では20代での転職が有利な理由について解説しましたが、転職活動がはじめての方にとっては具体的にどう行動すればよいか、わからないことも多いと思います。

そこで、ここでは20代で転職を成功させるために知っておきたいポイントについて、ご紹介していきます。

①20代で転職する理由を明確にする

まず、転職活動を行う際に最も重要なのが「転職理由を明確にすること」です。

特に20代の場合、今転職しなければならない理由について明確にすることが大切です。企業からすると、20代の応募者に対して最も懸念されるのが「またすぐに辞めてしまうのではないか」ということです。そのため転職理由を明確に示し、その懸念を抱かせないことが大切になります。

また転職する本人にとっても、薬剤師として働くことに対する価値観を整理することは就職先を探すうえでとても重要です。「何を学びたいか」「どのようにキャリアを形成したいか」などについて自分の考えをしっかりまとめましょう。転職面接では、それをポジティブに伝えることができると評価につながりやすいです。

②職場に求める優先順位を明確にする

職場選びの際、「職場に求める優先順位を明確にする」ことはとても重要です。

“給料が高く、残業が少なく、福利厚生も充実している”のように、全てにおいて好条件の求人はなかなか見つかるものではありません。そこで重要になるのが、自分にとって譲れない条件・譲れる条件について整理しておくことです。可能であればすべて書き出し、優先順位を立てておくとよいでしょう。

優先順位に沿って職場を探すことで、就職してから「こんなはずではなかった・・」という状況に陥ることを防ぐことができます。転職後に満足して働けるよう、転職先を安易に選ばず、慎重に選択していきましょう。

③就職先に貢献できることをアピールする

選考において重要になるのが「職場に貢献できる人材であることをアピールすること」です。

“アピール”とは、自分自身の良いところを相手に伝えることです。明るさ、まじめさ、コミュニケーション能力など、様々なものが思い浮かぶと思います。しかし自分がアピールしたい内容をただ羅列するように伝えても、採用担当者の心に響くことはありません。

ここで重要になるのが、“いかに職場に貢献できる人材であるか”を伝えることです。自分の個性や強みを活かしてどのように職場貢献していくのか、について根拠をもって伝えましょう。

採用担当者の心を動かすためには、相手の気持ちに立って考えてみることが大切ですね。

④最低でも1年以上働く

転職するのは、最低でも1年以上働いてからにしましょう。

20代の転職は有利なケースが多い反面、あまりにも仕事が長続きしない人材は採用されません。職歴が1年未満では、根性がない、あきらめが早い、などネガティブな印象を与えてしまい、書類で落とされてしまうケースが非常に多いです。また薬剤師としてまだまだ未熟のため、教育面での負担も懸念されてしまうでしょう。選考時に今までの経験をPRすることも難しいため、注意が必要です。

よほどの理由がない限り、1年以上働いてから転職を検討することをオススメします。

転職に失敗してしまう理由

20代の転職では、社会人経験が浅く視野の狭い中、早期に職場に見切りをつけ軽い気持ちで転職してしまうケースは後を絶ちません。このようなケースでは転職する目的がうやむやになっていることが多く、転職後もうまくいかないケースが非常に多いのが現状です。一度転職で失敗すると、その後も短いスパンで転職を繰り返してしまう傾向があるので注意が必要です。

そこで20代薬剤師の転職活動で失敗してしまう理由について、重要なポイントをご紹介します。

①逃げの転職によって転職の目的が曖昧になっている

転職活動において最も大切なのは、「目的意識を持って転職すること」です。しかし20代薬剤師の場合、新卒で入社した職場への不満やストレスから逃れたい一心で転職するケースが多く、“とにかく今の職場を離れたい”という想いが先行してしまいがちです。今の職場でなければどこでもいい、いち早く転職したい、という焦りから、よく考えずに転職するケースが多いのです。

環境を変えることを目的に転職先を探していると、「どう働きたいのか」「どんな仕事をしたいのか」という転職の本質を見失ってしまうでしょう。目先の給与や福利厚生などの条件だけで転職してしまい、就職してから理想の職場とずれていることに気が付くことになります。

職場を選ぶうえで重要なのは、仕事に対する価値観を明らかにし、職場に求めることを明確にすることです。働くうえで何が重要か?今の環境ではなぜそれが実現できないのか?についてしっかり考え、転職先を決めるとよいでしょう。

短いスパンで転職を繰り返すことにならないよう、焦らずじっくりと転職活動を進めることをオススメします。

②転職市場についての情報が少ない

転職市場についての情報が少ないために転職活動を失敗してしまうケースは、特に20代に多いです。

職歴が浅いため視野が狭く業界全体を見通すことができていない、人脈が少ないなど、若さゆえのデメリットです。

キャリア採用では、業界内における薬剤師の需要と供給のバランスを理解している必要があります。また業界ごとの傾向や個々の労働条件など、職場自体の情報も必要です。どこでどのような人材が求められているのか、倍率はどの程度なのかなどについて、詳しく理解してから転職するのがオススメです。

薬局・ドラッグストア業界は法律や人の流れによって変動が激しく、転職市場は日々更新されていきます。そのためネットの古い情報や一部の人の話を鵜呑みにするのは望ましくありません。実態について詳しい知り合いや転職のプロの力を頼り、リアルタイムな情報収集を心がけるとよいでしょう。

まとめ

20代薬剤師の転職について、記事をご覧になってみていかがでしたか?

20代では、上手に若さを活かした転職活動を行うことで、転職を成功させる可能性が広がります。アピールの仕方次第でより良い条件で転職することもできるので、計画的に転職活動を進めていきましょう。

また自分自身のキャリアを考える良い機会にもなるでしょう。この先の長い薬剤師人生をどのようにしていきたいのか、一度今までの人生や仕事を振り返り、今後のワークライフの糧にできるとよいですね。

初めての転職活動は不安が伴うものですし、20代だからこそのポイントも多くあります。転職という大きなイベントを成功させるため、ぜひプロの力も頼ってみましょう。

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キャリアアドバイザー 佐野

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