子育て中の薬剤師の働き方は?仕事と両立するにはパートや派遣が良い?
目次
序文
近年共働きの時代になり、子育てが少し落ち着いたころに職場復帰を目指すママさん薬剤師は多くいらっしゃいます。とはいえ子育て中だと「職場に迷惑をかけてしまいそう…」「ブランクがあって不安…」など足踏みしてしまう方も多いと思います。
そこでこちらの記事では、仕事と子育てを両立させるためのコツなどを一挙に解説していきたいと思います!復職に不安を抱えているという薬剤師の方は、ぜひ参考にしてみてください。
薬剤師は子育て中でブランクがあっても復職しやすいってホント?
“薬剤師は手に職だからブランクがあっても復職しやすい”ということを耳にしたことのある方は多いと思います。でも実際に出産を経てブランクをもってみると、本当に復職できるのか不安になりますよね。
しかし大丈夫です。薬剤師は子育て中でブランクがある方も復職が可能です!薬剤師は国家資格であり、さらに女性が6割以上をしめる職業なので、復職するママさん薬剤師が大勢いることはいわば当たり前の業界といえるでしょう。職場環境によって働きやすい職場と働きづらい職場があることは事実なので、しっかり見極めて就職するのがオススメ。ブランクを少しでも埋められるよう、準備もあわせて行うとよいでしょう。
以下、子育て中で職場復帰を考えている方向けに、働き方や就職先を探すうえでのポイントをご紹介していきます。
子育て中の薬剤師の復職タイミング
子育て中のママさん薬剤師が職場に復帰する時期として、よくあるタイミングをご紹介していきます。
①授乳がいらなくなったタイミング
なるべく早めに復職したいという方に多いタイミングとして“授乳がいらなくなったタイミング”が挙げられます。
産後しばらくの間は、ホルモンバランスや自律神経の乱れから免疫力が低下しやすく、また授乳中は疲れやすくもあります。そのため授乳が終わったタイミングでの復職はお母さんの体調的にも無理なく復職できる、一番早いタイミングといえるでしょう。1歳前後の年齢が目安で、この時期だと保育園に入園しやすいというメリットもあります。
またこのタイミングで復職するとブランク期間はおおよそ1年半以内におさまることが多いため、即戦力として問題なく復職しやすいです。2年に1度行われる調剤報酬改定をまたいでいる場合は、事前に変更内容をチェックしておくとよいでしょう。
②保育園や幼稚園に入園したタイミング
子どもが保育園や幼稚園に入園する時期も、多くの方が復職されるタイミングです。
3歳からは幼稚園の受け入れも始まるため、よほどの激戦区でない限り入園でき、計画的に職場復帰しやすいタイミングです。
しかし気を付けておきたいのが、保育園や幼稚園の預かり時間です。特に幼稚園は預かり時間が短いため、送り迎えの時間に合わせて働く時間を融通する必要があります。そのためこの時期に復職される多くの方はパートタイムか時短勤務で働いています。またお迎えを考慮し、園や自宅から近い職場を探す必要もありそうです。
③小学校に入学したタイミング
子どもが小学校に上がるタイミングは、フルタイムで復職したい方にオススメです。
薬剤師としてのブランクはかなり空いてしまいますが、子どもの急な体調不良や送り迎えなどの心配はほとんどなくなるでしょう。学童保育などを利用することでフルタイムで働くことができるため、仕事に専念しやすい環境が整います。
このタイミングで復職した場合ブランクが5年以上になるため、知識がかなり抜けてしまっている可能性が高いでしょう。また休職前にはなかった薬や制度の改定など、現場には知らないことが多いかもしれません。
しかし雇用状況としては、フルタイムの正社員は一番需要があります。最初は苦労することも多いかもしれませんが、学ぶ姿勢をもち、少しずつ現場の感覚を取り戻していくことで復職することができます。
育児・子育て中の薬剤師の働き方
ママさん薬剤師が仕事と子育てを両立させるために検討したい、働き方についてメリットやデメリットをご紹介していきます。ご家庭の事情や子どもの状況などに合わせ、自分に合った働き方を選ぶようにしましょう。
①正社員
正社員で働くメリットとして一番大きいのは、やはり収入面ではないでしょうか?安定的に毎月給与が入るほか、ボーナス等の手当や福利厚生も受けることができます。3歳や小学校入学までなどの期限付きで時短勤務を導入している会社もあるため、働きやすい職場もかなりあります。
一方パートや派遣よりもシフトの融通が効きづらい、責任が大きいなどのデメリットもあります。子育てをしながら正社員として勤務する場合は、いざという時のことも含めて会社と話し合っておくことが大切です。
【メリット】
・安定して高い給与が保証される
・ボーナスがある
・時短勤務が可能な会社がある
【デメリット】
・パートや派遣よりも融通が効きづらい
・残業を断りづらい
・責任が重い
②パート
パートで働くメリットとしては、やはり自由度の高さがあげられます。自分が申告した日時の中で働けるため、ご自身の生活に合わせて仕事のウエイトを調整することができるため、最も気軽に働ける勤務体系になっています。復職したてはゆるく働き、慣れてきたら少しずつ仕事の時間を増やしていく、といった具合に仕事量を融通することができるのは魅力ですね。子育てをしながら復職するのに最もハードルが低い勤務体系ともいえるでしょう。
しかし融通が利きやすい分、同じ時給で働く派遣と比べると時給は1,000~2,000円程度低い傾向があります。そのためしっかり稼ぎたいという方には向いていないかもしれません。
【メリット】
・働きたい時間を指定して働ける
・残業がほとんどない
・気楽に働ける
【デメリット】
・時給が安い
・福利厚生が受けられない場合がある
・キャリアアップが難しい
③派遣
派遣で働くメリットはパートと同じように時間を決めて働くことができるうえ、パートよりも良い時給で働けることでしょう。また勤めている企業からではなく派遣会社から給料をもらうため、勤務時間はタイムカードなどできっちり管理されています。そのためサービス残業の心配もいりません。
一方、派遣の契約上同じ職場に勤務できるのは長くても3年までと定められている点はデメリットです。派遣会社の指示により、定期的に職場を移動することを余儀なくされます。また職場を選ぶことができないため自宅から近い店舗で働けるかどうかは配属されてみないと分からない点も、勤務地を重視する方にとってはデメリットに感じられるでしょう。
【メリット】
・勤務日や勤務時間の融通が利きやすい
・時給が高い
・サービス残業がない
【デメリット】
・即戦力が求められる
・同じ事業所で働けるのは3年まで
・勤務地が選べない
薬剤師の主な就職先
子育て中の復職では、一般の転職活動とは少し違った視点で就職先を探す必要がありますね。ここでは薬剤師の主な就職先である調剤薬局・ドラッグストア・病院について、ママさん薬剤師の目線で解説していきたいと思います。
①調剤薬局
調剤薬局は子育て中の就職先として最もオススメの職場です。
調剤薬局はドラッグストアと比べて営業時間が短いのが特徴。また調剤以外の仕事をしなくて良いことから仕事の幅が狭く、心身の負担が少ないため安心して復職することができるでしょう。特に中小規模の調剤薬局や個人薬局では経営者との距離が近く、働き方などの融通が利きやすい傾向があります。子育て中には何かと融通してもらえる環境が安心なため、小さい規模の調剤薬局はママさん薬剤師にとって働きやすい職場といえるでしょう。
一方大手の調剤薬局では、店舗異動やヘルプが頻繁にある会社も多いため注意が必要です。なるべく自宅から近い店舗を希望したり上司と条件交渉をしたりなどの対応が必要となります。
②ドラッグストア
ドラッグストアは調剤薬局と比べるとハードワークなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
事実、店舗の営業時間が長かったり土日祝日関係なく営業していたりなど、不規則なシフトに応じなければならない可能性もあります。また業務の幅は調剤のみにとどまらず、OTC医薬品の販売や品出し、レジ対応などさまざまなことに対応しなければならない可能性もあります。元々ドラッグストアで働いていたという方は、ご自身の体力や時間の都合に合わせてドラッグストアに復職するのも良いかもしれませんが、ドラッグストアで働いたことがない方にとっては少し負担となってしまうかもしれません。そのような方は無理せず調剤薬局に復職する方が安心でしょう。
とはいえ大手のドラッグストアでは子育て支援の体制が整っている会社も多くあります。ドラッグストアで働きたいという方は、細かく会社の制度などを確認のうえ復職するのがオススメです。
③病院
病院薬剤師は激務のイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、薬剤師以外にも医師や看護師などさまざまな職種の人が働いていることから、育児と子育てを両立している方が多くいる環境です。
中規模以上の病院では院内保育を備えている病院もかなりあるので、保育園や幼稚園を探したり送り迎えを考えたりする必要がありません。また慢性期系の病院を選ぶことで、夜勤や残業、オンコールなどとは無縁で働くことも可能です。
病院では薬剤師の人数が多いところも子持ちの薬剤師にとっては嬉しいメリットでしょう。薬剤師3~4人で回している薬局などよりもシフトの融通が効きやすく、いざという時にも安心です。
ママさん薬剤師が病院に就職する場合は、急性期病院や大学病院は避け、託児所などの環境が整った病院を選ぶとよいでしょう。
育児・子育て中の薬剤師が働きやすい職場の特徴
薬局やドラッグストア、病院など、子育てをしながら働ける職場は多くありますが、いずれも働きやすい職場を選ぶことが大切です。そこでママさん薬剤師が働きやすい職場の特徴について、厳選した3つをご紹介したいと思います。
①薬剤師の人数が多い職場
処方せん枚数に対して薬剤師の人数が多い職場は、シフトの融通が利きやすいためオススメです。通院や予防接種といったイベントや子どもの急な発熱など、自分自身の都合だけで働けないのが子持ち薬剤師の悩みどころ。薬剤師の人数にゆとりのある職場では、そのような都合にも快く対応してもらうことができるでしょう。
また日々育児に追われ体力的にも余裕のないママさん薬剤師にとって、担当する処方せん枚数が多すぎないのは嬉しいメリットではないでしょうか。
②土日休みで働ける職場
育児中の薬剤師にとって土日休みの職場を探すことはとても大切です。
現在多くの保育園や幼稚園は土日休みのため、なるべくなら土日にお休みをとりたいと考える方が多いのではないでしょうか。夫に育児を任せられるという方もいるかもしれませんが、家族で過ごす時間をもつことも育児と仕事を両立していくうえではとても大切なことです。
そのためなるべく高頻度で土日に休める職場など、土日を考慮して探すのがオススメです。
③雰囲気の良い職場
どんな方にとっても雰囲気の良い職場は魅力的だと思いますが、ママさん薬剤師にとっては特に雰囲気が重要です。
育児中には何かと時間の融通が利きづらかったり誰かにシフト交換を依頼したりと、他のスタッフを頼らなければならないことも多いはず。そのため子育て中であることを配慮してくれたり快くシフトを変わってもらえたりする職場の雰囲気は、気持ちよく働くために必要不可欠です。
とはいえ職場の雰囲気を事前に知るのは難しいですよね。そのような時は転職エージェントを頼ったり実際に店舗を見に行ったりするなどして情報収集するとよいでしょう。
育児・子育て中の薬剤師が避けるべき職場の特徴
前項ではママさん薬剤師が働きやすい職場の特徴についてご紹介しましたが、ここでは反対に避けるべき職場の特徴についてもご紹介していきます。
①残業が多い職場
残業が多い職場は子育て中の薬剤師にとって最も働きづらい職場のひとつです。
家事や育児に追われるママさん薬剤師にとっては、ほんの数十分の残業でも負担に感じてしまうでしょう。子どもの送り迎えの時間なども考慮する必要があるため、注意が必要です。
また雰囲気の良い職場で快く残業を免除してもらえたとしても、他のスタッフが残業している中一人で帰宅するのは心が痛むものです。周囲への申し訳なさは職場での居心地を悪くするため、できるだけ残業の少ない職場を選ぶのがオススメです。
②人手不足の職場
人手不足の職場も避けるべき職場の特徴のひとつです。
人手不足の職場では一人当たりの業務負担が大きくなってしまうため、子育てをしながら働くにはかなりしんどいでしょう。子どもの発熱などで急に休まなくてはならない場合も応じてもらいづらいなど、融通が利きづらいというデメリットもあります。
また人手が不足している職場では慢性的に忙しい傾向があるため、職場の雰囲気がギスギスしている可能性も高いと言えます。ママさん薬剤師が心身ともに働きやすい職場を探すにあたっては、人手不足の職場は避けるのがよいでしょう。
先輩薬剤師に学ぶ!子育てと仕事を両立するコツは?
最後に、実際に出産から就職活動を経てママさん薬剤師として仕事と子育てを両立している先輩薬剤師の体験談を聞いてみました!実際に経験したからこそわかる、両立のコツをぜひご参考ください。
■Aさん 調剤薬局勤務
子どもが幼稚園に入園したのをきっかけに、自分の時間が少し作れるようになり復職することを決めました。ブランクが5年近くあったのではじめは不安が大きかったのですが、職場の方が親切な方ばかりだったので無理なく働くことができています!
【良かったこと】
復職して良かったことは、なんといっても自分の世界が広がったことです!家事と子育てで家にこもりっぱなしだった生活が一変し、仕事や人付き合いがとても楽しく感じられています。
【アドバイス】
復職はとてもハードルが高いように思っていましたが、身構えすぎずにリラックスして楽しむようにするといいと思います。思っているよりも休職した経験のある女性薬剤師が多く、会社側もブランクのある薬剤師の対応に慣れているように感じています。
■Bさん
子どもを2人産み、下の子が小学生に入学したのを機に正社員としての復職を決めました。10年近く現場を離れていたのでかなり知識が抜けてしまい、最初のうちは失敗ばかりでしたが、徐々に慣れていき今ではバリバリ働いています!
【良かったこと】
私の場合、子育てがかなり楽になってから復職したので心にも余裕ができ、自分の仕事に専念できたのがよかったです。上の子どもが下の子の面倒を見てくれるなど、家族の協力も得られています。
【アドバイス】
急いで復職したい方には難しいと思いますが、子供が大きくなってからの復職はゆとりをもって働けるのでオススメです。知識面や現場の感覚はだいぶ抜けてしまっているので、初心に戻って仕事に取り組む必要がありました。
まとめ
子育て中の職場復帰についての記事をご覧になってみていかがでしたか?
仕事と子育てを両立することへの不安やブランクがあることへの不安など、様々な想いで悩んでいる方が多いことと思います。ですが薬剤師は女性の多い職業です!復職を経験している方も多いので、肩の力を抜いてご自身のキャリアも大切にしてみてはいかがでしょうか?
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キャリアアドバイザー 佐伯
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